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大量生産・一斉配布型チラシの功罪

インターネットがこれほど普及する以前より、チラシやダイレクトメールなど、企業から顧客へ情報を届ける形での広告施策はマーケティングの一手法として行われていました。中でも、不特定多数の顧客に対して同じ情報を提供する、いわゆる「大量生産・一斉配布型チラシ」は、多数の相手に届ける手法として、多くの企業やサービス提供者が取り入れています。
このようなランダム型の施策は労力やコストの割に効果が薄いという批判も多く聞かれるようになってきました。にも関わらず、デジタル・アナログ共に、ランダム型の施策はなくなることなく続いています。
ランダム型施策は本当に無駄だけなのでしょうか。今回の記事では、大量生産・一斉配布型チラシの概要やマーケティング施策としての位置付け、そして、メリット・デメリットなど、改めて考えてみたいと思います。

大量生産・一斉配布型チラシとは

一般的に「大量生産・一斉配布型チラシ」は、全戸ポスティング型のチラシや新聞の折り込み広告など、配布先を意識せず、不特定多数に向けて配布される紙のチラシのことを指します。大量生産・一斉配布型チラシの特徴としては、主に次のようなものがあります。
・配布先を特定せず、ランダムに配布する
・情報提供側が伝えたい情報を網羅的に盛り込んだ内容である
・情報を受ける側は届けられる情報をコントロールできない

これらの特徴から、残念ながらその情報を必要としていない人に対してもチラシが届いてしまうことが多々あります。そのようなケースにおいては、届けられたチラシ=情報は不要と判断され、ほとんど読まれることもないまま捨てられてしまうことがほとんどでしょう。
一方で、ランダムな配布であることから、情報提供側とこれまで全く接点のなかった層も含め、広いターゲットにリーチすることができるという特徴もあります。

ランダム型マーケティングのメリット・デメリット

従来より行われているランダム型マーケティングにおいては、そのメリットよりデメリットに注目されることが増えています。それは、デジタル技術の革新に伴い、より少ないコストで高い効果を得られる方法が増えてきたためでしょう。
しかし、ランダム型マーケティングにも、その方法でしか実現できないメリットも存在しています。
ここでは、ランダム型マーケティングのメリットとデメリットについて改めて考えてみたいと思います。

ランダム型マーケティングのメリット

ランダム型施策のメリットとしては、次のようなものがあります。
・これまで全く接点のなかった相手にも情報を届けることができる
・相手の個人情報を持っていなくてもリーチできる
・定期的な情報発信により、認知度の向上や定着を図ることができる
・情報提供側の伝えたい情報をまとめて伝えることができる。

ランダム型マーケティングの最たるメリットは、相手の情報を全く知らないところから情報を届けることができるというポイントにあります。最初のメリットとしても書きましたが、これまで情報提供側と全く接点を持っていなかった相手にも届けることができるのです。
チラシで初めてみた情報であっても、繰り返し目にすることで記憶に定着し、徐々に親近感を育てていくことも可能です。
そのようにして、他の施策ではリーチすることすらできなかった相手を新規顧客予備軍として開拓し、育てていくことができる唯一の施策と言えるかもしれません。

ランダム型マーケティングのデメリット

一方で、多くの人が指摘しているように、ランダム型マーケティングにはデメリットもあります。
例えば、次のような内容が主なデメリットということができます。
・相手を選ぶことができないため、誰にでも同じ内容の情報しか送ることができない
・関心のない相手にも情報が届くため、読まずに捨てられてしまうことも多い
・関心のない情報が定期的に届くことで、企業に対する悪印象につながりかねない

デメリットは、メリットの裏写しのような内容になっています。つまり、ランダムな配布であるからこそ、相手の関心度に関係なく一律の情報が届いてしまう、というポイントが核となります。
人は、自分の関心のある情報以外はジャンク情報として認識します。そのため、関心のない情報を繰り返し送ってくる相手に対しては、親近感どころか、不快感を抱きかねません。

また、関心を持つ層にリーチするためには、その何十倍・何百倍もの無関心層にも届ける規模での施策が必要となります。そのため、すでに関心のある層に対して効率的に情報を届ける手法に比べ、非効率で効果が薄い施策と受け取る人も少なくありません。

次世代型、デジタル×アナログマーケティングの可能性

このようなランダム型マーケティングの対極にある手法として、個別化した施策が数多く取り組まれています。できる限り詳細なユーザーデータを収集し、属性だけでなく、インターネット利用意向や購買動向、関心の内容を分析・最適化した情報を提供する方法です。
ECサイトにおけるリコメンドや、個別のユーザーごとに内容を変更したダイレクトメールなどがこれに当たります。
このような施策は最初から相手の関心に近い情報を伝えているため、ランダム型施策に比べ高い成果率が期待できます。

施策の特徴にあったマーケティング戦略が重要

デジタル技術の革新と顧客の生活スタイルの変化に伴い、マーケティング施策の多様化は急速に進んでいます。従来のランダム型マーケティングやマスマーケティングに加え、個別化・最適化された施策も多く実施され、その効果や効率性が評価を受けています。
しかし、ランダム型マーケティングにも、メリットが全くないわけではありません。

大切なのはどちらの手法を選ぶのかではなく、それぞれの手法の特徴を正しく理解し、施策の場面や目的に応じて最も適した方法を選択することです。また、それぞれの施策を単独で活用するだけでなく、組み合わせる視点も可能です。
例えば、大量生産・一斉配布型チラシ一枚ごとに固有のQRコードを付与し、チラシに対する反応を計測することも可能です。その結果、大量生産・一斉配布型チラシに対し反応があった顧客に対して、次は個別化施策でフォローする、といった関わりも可能となります。

マーケティング施策や戦略は複雑化し、可能性をどんどん広げています。施策を従来型・新世代型とカテゴライズするのではなく、あらゆる施策を組み合わせ、より良い施策や工夫を模索していきたいところです。

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